情報処理学会 組込みシステム研究会

IPSJ Special Interest Group on Embedded Systems (SIGEMB)

湯河原宣言2018

 物理世界とつながったITシステムである組込みシステムの技術は,我が国の競争力の源泉の1 つであるが,その開発に関わる課題は山積している。問題領域が複雑化しているにもかかわ らず,従来からの開発手法のまま,人員の拡大のみで対応してきた結果,開発効率の低下, ディペンダビリティ確保の困難,サイバーセキュリティリスクの増大などを引き起こしてい る。デジタルトランスフォーメーションの重要性が叫ばれる中で,今,組込みシステム開発の革新に取り組まないと,数年の内に,急速に競争力が失われるおそれがある。

 このような危機感のもと,我々,情報処理学会組込みシステム研究会(SIGEMB)の有志メンバで議論を行った結果,次のような研究開発に早急に取り組むべきという結論に至った。

(1) 先端デジタル技術を活用して設計生産性を10倍に
 (a) 自然言語処理技術を活用したモデリング支援(半自動化)
 (b) 開発プロセスの自動化の推進とライブラリ化/標準化
 (c) 質の高いコア資産の拡充(他ドメインからの流用)
 (d) 人(技術者)が実施すべきことの明確化とアシスト
 (e) 非機能要求のモデリングとモジュール化
 (f) 形式手法による信頼性確保

(2) 利用時情報のフィードバックによるプロダクトのアップデートで価値を2倍に
 (a) ユーザ行動や事故・ヒヤリハット情報の自動収集
 (b) 利用時情報の解析,モデリング,フィードバック
 (c) エンドユーザプログラミング
 (d) アップデートする余裕のあるハードウェア

(3) サービスの変化に応えられるIoTプラットフォームによりビジネスを変革
 (a) サービスの変化に適応可能な進化型プラットフォームアーキテクチャ
 (b) 変化予測とオペレーションテクノロジー(OT)
 (c) ディペンダブルな進化プロセス
 (d) 進化する電子デバイス(モーフィングアセット)

(4) 社会実装と新規ビジネスの創出

(5) 国際標準化

2018年11月23日

情報処理学会 組込みシステム研究会(SIGEMB)有志(あいうえお順)

   枝廣正人(名古屋大,SIGEMB前主査)
   大川猛(宇都宮大)
   菅谷みどり(芝浦工業大)
   高瀬英希(京都大,SIGEMB幹事)
   高田広章(名古屋大,SIGEMB初代主査)
   田中清史(JAIST,SIGEMB幹事)
   田丸喜一郎(IPA)
   中島震(NII)
   中本幸一(兵庫県立大,SIGEMB元主査)
   久住憲嗣(九州大,SIGEMB幹事)
   二上貴夫(東陽テクニカ)
   松原豊(名古屋大)
   渡辺晴美(東海大,SIGEMB主査)

PDF(写真付き)

Updated: 2019年1月23日 — 3:57 PM
組込みシステム研究会 © 2017 Frontier Theme